【2025年版】ウレタン防水の5つの種類と工程を紹介します

ウレタン防水には複数の工法があり、それぞれ施工手順や工期、費用が異なります。従来は「密着工法」「通気緩衝工法(絶縁工法)」「メッシュ工法」の3種類が主な工法として知られてきましたが、2025年現在では、メッシュ工法は立ち上がり部など、限定的な部位での使用が中心となっています。
本記事では、ウレタン密着工法、ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法)、ウレタンメッシュ工法に加え、新たに注目されている「オルタックバリボード工法」と「ウレタン高強度工法」を含めた、計5種類のウレタン防水工法について、それぞれの工程・施工手順をわかりやすく解説します。
目次
ウレタン防水の5つの工法の特徴と工期日数・費用目安
ウレタン防水には主に5つの工法があり、工法別の特徴・日数・費用目安は以下の通りです。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 | |
|---|---|---|---|
| ウレタン密着工法 | 10年程度 | 5日~8日 | ★☆☆☆☆ |
| 高強度ウレタン工法 | 10年~12年 | 5日~8日 | ★★★☆☆ |
| ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法) | 13年~15年 | 7日~12日 | ★★★★★ |
| ウレタンメッシュ工法 | 10年程度 | 6日~11日 | ★☆☆☆☆ |
| ウレタンバリボード工法 | 15年~18年 | 7日~12日 | ★★★★★ |
これらの工法は大きく分けると、「下地の上にウレタン塗膜を塗る工法」と、「下地とウレタン塗膜の間にシートを入れる工法」の2種類に分類されます。
シートを挟む工法は、防水性能や耐用年数の向上が期待できる一方、施工工程や使用する材料が増えるため、その分コストも高くなる傾向があります。
ウレタン塗膜防水の工法は、実際には一覧表に示す通り多岐にわたりますが、現場で採用されている工法は、用途や条件に応じてある程度絞り込まれているのが実情です。
| ウレタン工法 | 特徴 |
|---|---|
| 密着工法 | ・複雑な形状や凹凸が多い場所にも施工可能 ・コストを抑える |
| 通気緩衝工法 | ・雨漏りに強い工法 ・下地に含まれる水分を逃がす |
| メッシュ工法 | ・ウレタンを切れにくくする ・通気緩衝工法の立ち上り部分に採用 |
| 高強度ウレタン防水 | ・耐久性が高い ・通気緩衝工法の立ち上り部分に採用、工期を短縮 |
| オルタックバリボード工法 | ・下地処理を簡略化でき工期の短縮・コスト削減 ・アスファルトパネルなので耐久性が高い |
| 機械固定法 | ・絶縁シートで下地に含まれる水分を外に逃がす ・既存防水を撤去せず施工可能 |
| 超速硬化型スプレーウレタン防水 | ・凹凸など複雑な形状に施工できる ・硬化が早く工期を短縮 |
| 複合防水 | ・異なる防水と組み合わせて施工 ・複雑な形状でも簡単に施工 |
| 断熱工法 | ・断熱材で蓄熱を防ぎ、放熱を減少させる ・建物内部の結露を抑える |
| 環境対応型ウレタン防水 | ・配合ミスや攪拌不足の硬化不良が無い ・特定化学物質無配合なので環境に配慮 |
さらに、屋上駐車場などでは、FRP防水と組み合わせて使用する工法も日本建築学会により推奨されており、こうした背景からも、現在の防水工事においてウレタン防水は欠かすことのできない工法の一つとなっています。
本記事では、数あるウレタン防水工法の中でも、2024年11月現在において主流となっている「密着工法」「通気緩衝工法」「高強度ウレタン防水」「オルタックバリボード工法」「メッシュ工法」の5種類に絞り、次のセクションからそれぞれの工法の工程・施工手順について詳しく解説していきます。

下地の上にウレタン塗膜を塗る工法
下地の上に直接ウレタン塗膜を塗り重ねていく工法には、主に以下の2種類があります。
- ウレタン密着工法
- 高強度ウレタン工法
いずれの工法も、下地の上にプライマー(接着材)を塗布し、その上からウレタン塗膜を複数回に分けて塗り重ねていく施工方法です。
比較的工程がシンプルなため、コストを抑えやすい点が大きなメリットです。
一方で、すでに雨漏りが発生している建物の場合、下地に含まれている水分を外部に逃がすことができず、防水層の膨れや再劣化の原因となるため、原則としてこれらの工法は適していません。

下地とウレタン塗膜の間にシートを入れる工法
下地とウレタン塗膜の間にシートを挟み込む工法の代表例が、『ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法)』です。
この工法は、「ウレタン絶縁工法」や「X-1工法」と呼ばれることもあります。
この分類に含まれる主な工法は以下の通りです。
・ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法)
・ウレタンメッシュ工法
・オルタックバリボード工法
これらの工法は、下地に含まれる水分や湿気を逃がす構造となっており、**既存防水層の劣化や雨漏りが疑われる建物にも対応しやすい**という特徴があります。
なお、ウレタンメッシュ工法もシートを使用する工法の一つですが、構造上、十分な通気性能を確保できず雨漏りのリスクがあるため、近年では採用されるケースはほとんどなくなっています。
トップコートの仕上げはすべての工法に共通
ウレタン防水は、どの工法を選択した場合でも、最終工程としてトップコートによる仕上げを行います。
トップコート自体に防水性能はありませんが、ウレタン塗膜防水層を紫外線や風雨、落下物などの外的要因から保護する重要な役割を担っています。
紫外線や強風による飛来物は、ウレタン防水層の劣化を早める大きな要因となるため、トップコートによる保護は欠かせません。
なお、ウレタン防水の定期的なメンテナンスは、このトップコートの塗り替えが中心となります。
ウレタン密着工法の施工手順
ウレタン密着工法の施工手順と基礎データは以下の通りです。
工程1 下地にプライマーを塗る
下地と防水層を接着させるためのプライマーを塗ります。
工程2 ウレタン塗膜を塗る
ウレタン塗膜を2層、均一に塗ります。
厚ミリが均一になっていなと防水層の膨れや破れの原因の一つになります。
工程3 トップコートで仕上げる
トップコートは紫外線からウレタン塗膜を守ってくれます。標準のアクリルトップコートの他に、耐熱性のあるシリコン、最も長持ちするフッ素、遮熱性の高い遮熱トップコートがあります。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 |
|---|---|---|
| 10年程度 | 5日~8日 | ★☆☆☆☆ |
高強度ウレタン防水の施工手順
高強度ウレタンの施工手順と基礎データは以下の通りです。
工程1 下地にプライマーを塗る
下地と防水層を接着するプライマーを塗ります。
工程2 高強度ウレタン塗膜を塗る
通常のウレタン塗膜と同様に均一に塗ることで、膨れや破れにくくなります。
工程3 トップコートで仕上げる
通常のウレタン防水と同様にトップコートの種類で、トップコートの耐久年数が変わります。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 |
|---|---|---|
| 10年~12年 | 5日~8日 | ★★★☆☆ |
ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法)の施工手順
ウレタン防水通気緩衝工法の施工手順と基礎データは以下の通りです。
工程1 下地にプライマーを塗る
下地と防水層を接着させるためのプライマーを塗ります。
工程2 通気緩衝シートを敷く
通気緩衝シート(絶縁シート)を貼ります。通気緩衝シートには自着性があります。脱気筒を設置することで、水蒸気を外に逃がすことがでます。
工程3 脱気筒を取り付ける
脱気筒を設置することで、通気緩衝シートからの水分や蒸気を逃してくれます。
工程4 ウレタン塗膜を塗る
ウレタン塗膜を2層、均一に塗ります。
工程5 トップコートで仕上げる
トップコートを塗り紫外線などから防水層を守ります。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 |
|---|---|---|
| 13年~15年 | 7日~12日 | ★★★★★ |
ウレタンメッシュ工法の施工手順
ウレタンメッシュ工法の施工手順と基礎データは以下の通りです。
工程1 下地処理
下地の状態を確認し、必要に応じて補修します。
工程2 プライマーを塗る
下地と防水層を接着させるためのプライマーを塗ります。
工程3 メッシュシートを貼る
場所に合わせてメッシュシートをカットし、貼り付けていきます。
工程4 防水材を塗り重ねる
メッシュシートの上から防水層を2回重ねて塗ります。
工程5 トップコートで仕上げる
防水層を保護するため、トップコートを塗ります。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 |
| 10年程度 | 6日~9日 | ★☆☆☆☆ |
ウレタンオルタックバリボード工法の施工手順
ウレタンオルタックバリボード工法の施工手順と基礎データは以下の通りです。
工程1 バリボード(アスファルトパネル)を敷く
既存防水の上に、バリボード(アスファルトパネル)を敷きます。
防水層を撤去しないため、工事中の雨による雨漏り被害が抑えられます。
工程2 オルタックシートを敷く
オルタックシートを敷き、専用のテープで止めます。
工程3 ウレタン密着工法か通気緩衝工法(絶縁工法)で施工する
ウレタン防水密着工法、または、ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法)を施工します。
工程4 トップコートで仕上げる
トップコートを塗り紫外線から防水層を守ります。
| 耐用年数 | 工期日数 | 雨漏り有効度 |
| 15年~18年 | 7日~12日 | ★★★★★ |
ウレタン防水の施工・工程についてのよくある質問
ウレタン防水の施工時の注意点は何ですか?
ウレタン防水は、施工品質によって耐久性や防水性能に大きな差が出る工法です。そのため、以下のポイントを押さえた丁寧な施工が非常に重要となります。
まず、高圧洗浄などによって下地の汚れやホコリ、劣化した塗膜などをしっかりと除去することが基本です。下地処理が不十分なまま施工を行うと、密着不良や早期剥離の原因となります。
次に、下地の状態や種類に適したプライマー(接着材)を選定し、確実に塗布する必要があります。プライマーには非常に多くの種類があり、下地の材質や劣化状況に応じて適切なものを選ばなければ、本来の性能を十分に発揮することができません。
ウレタン防水は、基本的に複数回(通常は3回程度)に分けて塗り重ねていきます。この際、前の工程が十分に乾燥しないうちに次の塗装を行うと、硬化不良を起こし、塗膜が剥がれやすくなる原因となります。乾燥時間の目安は、1工程あたり半日程度を確保することが一般的です。
また、防水性能を確保するためには、規定の塗膜厚をきちんと確保することも重要です。ウレタン防水の塗膜厚は、一般的に2.0mm~5.0mm程度で、採用する工法によって異なります。
施工完了後には、膜厚計を用いた検査を実施してもらうことで、適切な厚みが確保されているかを確認でき、より安心です。
ウレタン防水と他の防水工法の違いは何ですか?
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成し、下地と一体化することで防水性能を発揮する工法です。
継ぎ目のない防水層を作ることができるため、柔軟性と密着性に優れ、複雑な形状の屋上やベランダにも対応しやすいという特長があります。
このほかにも、ウレタン防水にはいくつかの特長があります。次に、主なポイントを見ていきましょう。
| 特徴 | ウレタン防水は柔軟性があり、下地と一体化するため、防水性に優れている複雑な部位(架台・角の隅・配管周りなど)にも塗りやすいため、採用頻度が多い工法の1つ。 |
|---|---|
| 工期 | 塗って乾かす工程を繰り返すので、他の工法(塩ビシート・アスファルト防水)に比べると工期が少し長め。 例:屋上100㎡をウレタン通気緩衝法で施工した場合、10日~12日程度かかる(塩ビシート機械固定法の場合は5日~7日) |
| 耐久性 | 工法によって変わるが、耐久年数は10年~15年ほど。 他の工法(塩ビシート)に比べ、紫外線に弱いため、10年に一度くらいの頻度で、トップコート(保護塗料)やウレタン防水の塗り替えを推奨。 |
ウレタン防水の施工に必要な資格は何ですか?
ウレタン防水の施工にあたって、法律上必ず必要とされる特別な資格はありません。そのため、実際には無資格でも施工を行うこと自体は可能です。
ただし、業者選びの一つの目安として、「防水施工技能士」の資格を保有しているかどうかは、重要な判断材料になります。
防水施工技能士は、適切な防水工事を行うために必要な知識と技術を有していることを証明する国家資格で、防水工事に関する一定水準以上の技能を備えていることの指標となります。
もちろん、資格を持っていない職人の中にも、経験豊富で技術力の高い方は多くいます。しかし、施工品質のばらつきが出やすい防水工事だからこそ、防水施工技能士の資格を保有しているかどうかは、業者選定における安心材料の一つになると言えるでしょう。
ウレタン防水の環境や人体への影響はありますか?
ウレタン防水は、環境への影響がまったくないというわけではありません。しかし、近年では「環境配慮型ウレタン防水材」と呼ばれる製品が主流となっており、従来の材料と比べて、環境への負荷をできる限り抑えるように設計されています。
また、ウレタン防水材は、硬化後は安定した状態となるため、通常の使用環境において人体に悪影響を及ぼす可能性は極めて低いと考えられています。硬化した防水層に触れたことで健康被害が生じるケースは、ほとんどありません。
一方で、施工中には、使用する材料に含まれる溶剤などの影響で、臭いを強く感じたり、体調を崩されたりする方がまれにいらっしゃいます。特に、室内や風通しの悪い場所に近い箇所で工事を行う場合は、注意が必要です。
臭いが気になる場合は、工事期間中に換気扇を回したり、空気清浄機を使用したりすることで、室内にこもる臭いをある程度軽減することができます。心配な方は、事前に施工業者へ相談しておくと、より安心して工事期間を過ごせるでしょう。
ウレタン防水はDIYで施工できますか?
ウレタン防水は、市販の材料を使用すれば、面積の小さいベランダや玄関前などであればDIYで施工することも不可能ではありません。
しかし、屋上などの面積が広い場所や、建物全体の防水性能に大きく関わる箇所については、専門業者に依頼することをおすすめします。ウレタン防水は、下地処理や塗膜の厚み管理、乾燥時間の管理など、施工品質によって耐久性が大きく左右される工法です。
施工不良があると、数年で再び雨漏りが発生したり、防水層が早期に劣化したりするリスクも高まります。結果的に、補修や再施工が必要となり、かえってコストがかさんでしまうケースも少なくありません。
そのため、DIYはあくまで小規模で影響範囲の限られた場所にとどめ、重要な防水工事については、実績のある専門業者に依頼するのが安心と言えるでしょう。





